4月
15
2012Voice Blog 「サヨナラの余韻」
こんにちわ。
サヨナラには余韻があります…。
愛しければ愛しいほど余韻があります…。
東宝ビルトという撮影所がその歴史に幕を降ろしました。
ここは怪獣や光の国のヒーローがたくさんの夢を作った場所です。
特撮ステージと呼ばれた第5スタジオには常に大空が描かれていて、
その前では怪獣と地球を守るヒーローが大地を揺るがしながら闘っていました。
全部で6つのスタジオを抱えるこの東宝ビルトでボクはたくさんのコマーシャルを撮影しました。
春は撮影の合間に中庭にある桜の木に和まされ、夏は空調の弱いスタジオでたくさんの汗をかき、
秋はオープンセットの夕暮れにちょっとした切なさを感じ、
冬は冷たいすきま風にスタジオの長い歴史を感じていました。
想い出がありすぎて、想い出がありすぎて、
サヨナラだと分かっているのになかなか立ち去れませんでした。
ガランとした何もないスタジオの中で、何回も何回もカメラのシャッターを切りました。
たぶんボクは目の前にある現実ではなく、過去の余韻を映そうとしていたのかも知れません。
スタジオに染みついた汗と匂い…。
スタジオに棲みついていた何か…。
それらがすべて余韻となってボクを包んでいました。
サヨナラには余韻があります…。
愛しければ愛しいほど余韻があります…。
そしてその余韻を丁寧に心の中にしまいつつ、静かにスタジオを後にしました…。
…ということで今日は、もうひとりのボクの生まれた場所「東宝ビルト」に
別れを告げながらお届けしました。
では、また。 Capoucompswerin .