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Voice Blog 「針のない時計のお話」

こんにちは。

今年最後の旅の終わりに出会ったのは「針のない時計」でした。
それは取り壊しを待つ東京中央郵便局の壁から、75年もの間、
丸の内の時の流れを見守ってきた時の番人のような時計でした。

旅を終え、東京駅から出てきたボクは、この「針のない時計」の不思議な存在感に
眼を奪われながら、いろいろな思いを巡らせていました。
最初のうちは、もしかしたらこの時計は、針を外されることで、
自分自身が刻んできた時間という呪縛からやっと解放されてホッとしているんじゃないか、
なんて思っていたのですが、この「針のない時計」を見れば見るほど、
自分に何かを問いかけられているような気分になってきたのです。

「時間の感覚はひとそれぞれ違っているんだから、
あなたがお好きなように針をかければいいんですよ」と
この時計が誘っているように思えたり、
「あなたの人生は今、何時何分ですか?」とシュールに問いかけられてる気にもなったり、
一方で、「人生を動かしているのは決して時間ではなく、
あなたそのもの…つまり本当の時計の針はあなた自身なんですよ」と
言われているような気がしたり…。

寒空の下でしばらくこの時計とにらめっこすることになってしまいました。
あ、もともと時間を刻む役割を果たして初めて時計と呼ばれるワケですから、針を失った時点で、
もうボクの目の前にあるのは時計ですらなかったのかも知れませんけど…。

旅の終わりにこの時計が現れたのには意味があるように思えて仕方がありませんでした。
で、ボクの結論は「新しいあなたへのスタート時間はあなた自身で決めなさい。
あなたがあなたのスタートの針を掛けなさい」って言ってくれようとしているのかな、
というところに落ち着きました。
ま、自分にとって一番都合のいい解釈ですけど…。

さて、みなさんはこの「針のない時計」にどんな思いを巡らせるでしょうか?
案外そこに来年の自分や、もっと先の自分へのヒントが何か隠されているのかも知れません…。

…ということで、今日は旅の終わりに出会った、「針のない時計」を眺めながらお届けしました。
ところで、東京中央郵便局の竣工は1933年12月25日のクリスマス。
たくさんの人の思いを運ぶ手紙とういものを扱う建物としては、
ちょっとロマンチックなお誕生日のような気がします…。

では、よいお年を…。