Voice Blog 「ラスト・ラン」

こんにちわ。

今日、夕方、タクシーに乗りました。
それは、運転手さんとほんの少しの世間話をしながらしばらくクルマが進んだ時のことでした。
その運転手さんが、ふいに「実は私、今日が最後なんですよ…」とひとこと。
そこから続いたお話は、彼がハイヤーの運転手を34年、そのあとタクシーの運転手を14年、
合計48年間運転手という職業をやってきたということ。
年齢は77歳で、去年の年末にタクシー会社から今年の夏のタクシー台数の削減に向けて、
75歳以上の運転手の一斉退職の決定を急に告げられたということ、でした…。

「お客さん、私、朝の4時まで走ったら終わっちゃうと思うと、今日はなんだか寂しくって…」
という言葉でその話は締め括られました。
その言葉の裏には職人として自分から引退を決められなかったことへの悔しさも
滲んでいたような気がします。

ボクは領収書をもらって降りる瞬間に
「朝の4時までが少しでも長く感じられる時間でありますように、
そしてたくさんのステキなお客さんが乗ってきますように…」と声を掛けました…。
最後に敬意を込めて「ありがとうございました」と言って別れを告げました。

ボクが降りたあとどんなお客さんたちが、彼のラスト・ランをともにするのかはわかりません。
ただ、そのラスト・ランに参加出来た偶然に感謝したい気持ちです。
今日、あの電車に乗って、あの駅で降りて、あの改札から出なかったら出会うことの無かった偶然…。

一人の職業運転手さんのラスト・ランはあと数時間で終わります…。
このブログを更新している間にもその時間は近づいています。
どうか、ステキなエンディングになりますように…。
48年間、本当にお疲れさまでした…。

…ということで今日は偶然であったラスト・ランを走り抜けていた77歳の運転手さんのお話でした。

では、また。 Penlandkenrechoc .