Voice Blog 「下町の桜の木のひとりごと」

こんにちわ。

ボクは東京、下町の路地裏の駐車場に咲いている桜の木です。
自分で言うのもなんですが、ボクは名木だと思ってます。
狭い場所をものともせずにしっかりと伸びた幹や枝の力強さ、
そして、柔らかくふっくらと咲く花たち…。
建物や電線に囲まれながら、ボクはいつも胸を張って春のお知らせを全うします。

すぐ近くにはいわゆる「桜の名所」と呼ばれ大勢の人で賑わう場所があるのですが、
ここの路地裏はいつもひっそり…。
もちろん、ご近所のみなさんには有名なのですが、それ以外はといえば、
たまに道に迷って通りかかった「メジャーどころ」のお花見の人が
「お~っ」と驚いてくれるぐらい。
でも、いいんです、ボクはご近所桜で十分です。

シートを広げて宴会をしてもらわなくっても、
みんなが微笑ましく見上げてくれるだけでじゅうぶん幸せです。
ボクは微笑み返す代わりに少しでも多くの花を、少しでも長く咲かせるのです。
それが年に一回のボクの役割、ボクなりのお努めなのですから…。

ということで、今日は下町の路地裏で胸を張って咲き誇る一本の桜を
見上げながらお届けしました。

では、また。